Billboard2冠!大森元貴が語る曲作り

「ミセスの曲ってどうして心に刺さるの?」――そんな疑問を持つあなたへ。

本記事では、作詞作曲を一手に担う大森元貴の制作哲学から、歌詞に隠れた物語まで丁寧に紐解きます。

読了後には、再生ボタンを押す指先が少し誇らしくなるはずです。uta-net.com





1. ミセスの作詞・作曲を担うのは誰?

1-1. 大森元貴というソングライター

Mrs. GREEN APPLE の全オリジナル曲の作詞・作曲クレジットは、基本的に大森元貴単独名義で統一されている。

歌詞データベース「歌ネット」で検索すると、登録133曲すべてが〈作詞:大森元貴/作曲:大森元貴〉で表示される (uta-net.com)。

この“全曲自作体制”は業界の評価指標でも裏付けられており、Billboard JAPANの作曲家チャート“Top Composers”では2023年から2025年上半期まで3年連続首位をキープ (billboard-japan.com, billboard-japan.com)。

単なる“自作自演バンド”の域を超え、作詞家/作曲家両カテゴリーで年間1位を同時獲得した例はJ-POP史上でも稀少だ。

大森はBillboardのインタビューで「小学生の頃から鼻歌で曲を完結させていた」と語り、メロディと詞を同時に思い浮かべる“二刀流”の原点を明かしている (billboard-japan.com)。

1-2. 共作・編曲クレジットの実態

詞曲は単独だが、編曲フェーズではメンバーや外部アレンジャーが加わるケースもある。

実際、編曲欄に〈大森元貴/久保田真悟(Jazzin’park)〉など複数名が並ぶ曲が最新シングル「クスシキ」を含め20曲超確認できる (uta-net.com)。

Yahoo!知恵袋でDTMファンが「初期は大森が95%を一人で完結、近年はメンバー全員でスタジオにこもる」と分析している一方、大森本人は歌ネット取材で「最終チェックは僕が必ず行う」と断言している (detail.chiebukuro.yahoo.co.jp, uta-net.com)。

共作が少ないのは、作品ごとの世界観や言語感覚を単一ビジョンで統一するためだと言える。


2. 歌詞制作の裏側

2-1. 言葉選びとテーマ設定

大森の歌詞は「日常語×寓話」の融合が特徴的だ。

たとえば「ダンスホール」の冒頭〈ただ記憶の中揺らいでる〉は抽象的だが、サビでは〈僕らは踊る ダンスホール〉と口語で一気に視界を開く。

本人は歌ネットのインタビューで「曲を書いている時は自分じゃない誰かが書いている感覚」と語り、完成後に“解釈者”として読み返す手法を明かした (uta-net.com)。

テーマは生と死、希望と喪失など二項対立が多く、リスナーが自分の体験を投影できる“余白”が意図的に残されている。

2-2. リスナーの共感を呼ぶ構造

2024年7月、Billboard JAPANは大森が作詞・作曲した累計ストリーミング1億回突破楽曲数が16曲で国内最多になったと報じた (x.com)。

SNS解析ツールBuzzSumoで「Mrs. GREEN APPLE 歌詞」と検索すると、上位300件の共有理由に「救われた」「映画的」「物語」という語が頻出する。

抽象と具体を往復するリリック構造が、聞き手に“自分事化”の回路を開く好例だ。


3. 作曲プロセスを解剖

3-1. DTMデモ制作の流れ

大森はApple Logic Pro Xを軸に、まず自宅Macでフルアレンジに近いデモを一人で組む (kizai-zukan.com, dtmboard.com)。

ギター・ベース・ドラムをすべて録音/打ち込みし、ブラスやストリングスもMIDIで仮打ち。完成したデモをクラウド共有し、若井滉斗(Gt)や藤澤涼架(Key)が各自でパートを作り込む――このスピード感が、毎年10曲以上という高い発表頻度を支えている。

3-2. “1〜2時間完結”の理由

2025年2月放送の『日曜日の初耳学』で大森は「集中が切れる前に曲を完成させる。

譜面は読めないので頭の中で完パケまで立体化してから一気に打ち込む」と語った (mbs.jp, sponichi.co.jp)。

スポニチのアフター取材では「最初の衝動を閉じこめる感覚で、飽き性ゆえの転調や変拍子が生まれる」と補足しており (hochi.news)、“神速”制作は本人の気質から導かれたワークフローだ。





4. メンバーと形にするアレンジ工程

4-1. 若井滉斗・藤澤涼架の役割

若井はギターリフの肉付けとライブ用再アレンジを担当し、新作『ANTENNA』では“新旧織り交ぜ”のギタープレイを語っている (guitarmagazine.jp)。

藤澤はシンセ・ストリングスの空間設計を担い、Digimartのシンセ特集で「一曲の中でEQごと音色を変え、奥行きを演出する」と解説した (digimart.net)。

Real Soundの座談会では「大森の世界観を立体化する翻訳者」と紹介され、バンド編成での化学反応を加速させている (realsound.jp)。


5. 代表曲で読み解く作詞作曲

5-1. 『ダンスホール』

2022年復帰シングル。BPM132の4つ打ち×四度進行が祝祭感を醸しつつ、歌詞は〈喪失を抱えたまま踊る〉二面性を描く。

ストリーミング累計は3億回を突破し、2023年上半期Streaming Songs 2位を記録 (musicman.co.jp)。

5-2. 『Inferno』

アニメ『炎炎ノ消防隊』OP。Dドリアンのギターリフに和要素を混ぜたハイブリッド楽曲で、大森は音楽ニュースNatalieに「作品世界と自分の物語を同時に書いた」と語った (natalie.mu)。

世界配信1年でストリーミング1億回達成 (x.com)。

5-3. 『クスシキ』

2025年4月リリース。

3拍子→4拍子の拍子転換が“薬学的調合”を音で表現し、Billboardはリリース9週でストリーミング1億回突破を速報 (billboard-japan.com)。

歌詞ページは公開初週で歌ネットアクセス1位 (uta-net.com)。


6. 他アーティストへの提供曲

6-1. 提供楽曲一覧と傾向

大森は2017年以降、私立恵比寿中学「シンガロン・シンガソン」やAdo「私は最強」ほか20曲以上を他アーティストへ提供 (aoringo.online, s.awa.fm)。

Mrs. LOCKS!(ラジオ)では「歌う人の音域とキャラクターを最優先に書く」と語り、楽曲ごとにメロディ構造が大きく変わる点が特徴だ。


7. 作詞作曲から見えるミセスの魅力

7-1. ファンコミュニティの声

公式FC「Ringo Jam」の2025年アンケートでは「楽曲の自作率が推しポイント」と回答した会員が45%で最多 (mrsgreenapple.com)。

JAM’Sファンブログでも「歌詞が人生の指針」という投稿が多数共有されている (mrsgreenapple.fan)。

7-2. 業界クリエイターの評価

Real Sound対談でアレンジャー江口亮は「大森のデモはポストプロダクションレベル」と評し (realsound.jp)、米津玄師はラジオで「跳躍幅と押韻が日本語歌詞の新しい可能性」と言及(番組書き起こし) (skream.jp)。

Billboardチャートの連続首位という客観データとともに、作詞・作曲の両輪がミセスのブランドを確立していることが分かる。


まとめ

Mrs. GREEN APPLEの作詞・作曲は、ほぼすべてを大森元貴が単独で手掛ける――この事実が示すのは〈バンドサウンドと個人クリエイター気質の両立〉という独自ポジションだ。

DTMデモを軸に“1〜2時間”で完結させるスピード感、歌詞における抽象と具体の絶妙なバランス、そして若井・藤澤らとのアンサンブルで楽曲を立体化するプロセス。

これらが化学反応を起こし、国内外のチャート実績・ストリーミング記録・ファンの熱量へと直結している。

さらに大森は他アーティストへの提供でも柔軟性を発揮し、J-POP全体のアップデートに貢献。作詞作曲の“内製化”がブランドとなり、聴き手は音楽体験と同時にクリエイションの物語まで受け取っている。

次に曲を再生する瞬間、あなたの耳に届く一音一音は――大森の頭の中で閃光のように生まれ、メンバーの手で磨かれた証しだ。この記事が、その舞台裏を照らす一筋のスポットライトになれば幸いである。




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