アナログ伝送とディジタル伝送の違いをやさしく解説

初心者向け・図解で学ぶ通信の基礎

アナログ伝送とディジタル伝送の違いをやさしく解説|モデム・変調復調・RZ・NRZ・NRZI・バイポーラ方式

「波形の違いが覚えられない」「モデムは何を変換する装置?」「NRZIは0と1のどちらで反転するの?」という疑問を、具体例と図解で解消する入門記事です。

 

「アナログ伝送とディジタル伝送って何が違うの?」「モデムの変調・復調ってどういう意味?」「RZ・NRZ・NRZI・バイポーラ方式の違いが覚えられない……」。

情報通信を勉強していると、こうした疑問に出会います。特に、波形が登場すると、どこが0でどこが1なのか戸惑い易いものです。

通信の仕組みは、情報を送る → 送れる信号に変える → 相手が読み取る 、という流れで考えると理解し易くなります。

この記事では、高校生や初学者が基本情報技術者試験の復習にも使えるように、身近な例と波形を使って一つずつ解説します。

単語を暗記するだけでなく、「なぜその形で送るのか」まで学んでいきましょう。

1. アナログ伝送とは?

1-1. アナログ伝送の意味と基本的な仕組み

アナログ伝送とは、連続的に変化する信号を利用して情報を送る方法です。

「連続的」という言葉が難しく感じられたら、人の声を思い浮かべてください。

小さな声、大きな声、高い声、低い声では、空気の振動の仕方が少しずつ違います。

マイクはこうした空気の振動を電気信号へ変えられます。

声が変化するのに合わせて電気信号も滑らかに変化します。

図1|アナログ信号は滑らかに変化する 信号の大きさ 時間 →
横方向が時間、縦方向が信号の大きさ。これは信号の形を示す模式図です。

例えば、従来のアナログ電話では、声を表す電気信号を回線を通して伝える仕組みが使われていました。

受信する側では電気信号の変化を音に戻すため、離れた場所の声が聞こえます。

ここでのポイントは、信号の大きさや形の変化に情報が対応している事です。

例えば電圧が2段階だけでなく、その間の値にも変化し得るのがアナログ信号の特徴です。

ただし、アナログ伝送と「元データがアナログである事」は同じ意味ではありません。

コンピュータのデジタルデータであっても、変調によって連続的な波の形に変えて送信する事があります。

反対に、人の声のようなアナログ情報も、デジタルデータに変換して伝送出来ます。

「元の情報の種類」と「送信する信号の形」を分けて考える事が大切です。

この区別を理解しておくと、後で登場するモデムや変調・復調もすっきり理解出来ます。

まずは、アナログ信号は連続的に変化する信号だと覚えましょう。

ここが重要: アナログ伝送では、連続的な信号の変化を利用して情報を送ります。

1-2. アナログ伝送のメリット・デメリットと身近な例

アナログ伝送の長所は、声や音など、元々滑らかに変化する情報を連続的な信号として扱える事です。

例えばマイクで音を電気信号にし、その変化を回路へ伝える考え方は直感的です。

アナログ電話やAM・FMラジオ放送など、連続的な信号を扱う仕組みは身近な技術にもあります。

ただし、電話とラジオでは回線も変調方式も異なります。

一方で注意したいのがノイズです。

ノイズとは、送りたい情報とは無関係に混ざる余計な信号の事。

ラジオを聞いていて「ザーッ」という雑音が入る場面を想像してみて下さい。

信号の波形に雑音が重なると、受信側で元の形を正確に取り出すのが難しくなる場合があります。

図2|ノイズによって波の形が乱れる

ノイズが少ない場合

信号の大きさ 時間 →

ノイズが加わった場合

信号の大きさ 時間 →
上と下は同じ基本波形です。下は別の揺れが混ざり、元の形が乱れています。

長距離の回線では、信号が弱くなってしまう事もあります。

増幅器で信号を強められますが、既に混ざっているノイズも一緒に大きくなる場合があります。

そのため、アナログ伝送の品質を保つには、雑音を減らす回路、適切な周波数の選択、伝送設備の工夫などが重要です。

とは言え、アナログ方式が必ず悪い訳ではありません。

使用する設備、送りたい情報の種類、音質の要求、通信距離などで適した方式は異なります。

「アナログは古くて使えない」と覚えるのは間違いです。

現代の通信技術にも、アナログ的な信号処理は広く組み込まれています。

デジタルデータも最後には電圧や電磁波など物理的な信号として送られるためです。

ここが重要: アナログ伝送は連続的な信号を扱いやすい一方、雑音が波形に直接影響する事があります。

2. ディジタル伝送とは?

2-1. ディジタル伝送の意味と基本的な仕組み

ディジタル伝送(デジタル伝送)は、情報を「0」と「1」などの離散的な記号として扱い、相手に送る通信の仕組みです。

パソコンやスマートフォンが扱う文字、写真、音声、動画も、内部ではデジタルデータとして表現されます。

例えば「10110010」という8ビットの並びは、それぞれの桁が0か1の情報を表します。

では、通信ケーブルの中へ数字その物を流せるのでしょうか。

答えは、いいえ。

実際には数字を電圧や光などの物理的な信号に置き換える必要があります。

簡単な例では、1を高い電圧、0を低い電圧に対応させます。

受信側は、届いた電圧を調べて、それが0か1かを判断します。

図3|0と1を電圧で表す例 1 0 1 1 0 1 0 0 +V 0 −V 時間 →
「10110100」を単流NRZ方式で表した模式図。実際の信号は理想的な直角にはなりません。

受信した信号に少しノイズが混ざっていても、0と1を区別出来る範囲内なら元のデータを正しく判断出来ます。

この様に、データを再判定出来る事は、ディジタル伝送の重要な特徴です。

ただし、ノイズが大き過ぎれば1を0と間違える事もあります。

この様な間違いをビット誤りと呼びます。

もう一つ必要なのはタイミングです。

電圧がずっと高い時、それが1ビットの「1」なのか、続けて送られた4ビットの「1111」なのかは、電圧の高さだけでは判断出来ません。

送信側と受信側でビットを読み取る時間を揃える仕組みが必要です。

これを同期と呼びます。

こうした信号の表し方や同期の問題に関係するのが、RZ・NRZ・NRZI・バイポーラなどの伝送路符号です。

つまり、データを0と1で表すだけでは通信は完成しません。

「0と1をどんな波形にして送るか」まで考える事が大切なのです。

2-2. アナログ伝送とディジタル伝送の違い

アナログ伝送とディジタル伝送を比べる時、まずは情報をどの様に表すかに注目してください。

アナログでは連続的な信号の変化が情報を表します。

ディジタルでは0と1などの決められた記号として情報を扱います。

これを電気信号で送る場合、電圧の高低や変化を使って情報を表します。

比較項目 アナログ伝送 ディジタル伝送
情報の表し方 連続的な変化 0と1などの離散的な値
信号の例 なめらかな波形 電圧の高低など
ノイズ 信号品質に直接影響しやすい 判定の範囲内なら再生できる
受信側 信号の変化を読み取る 記号を判定して読み取る
代表的な用途 従来のアナログ音声通信など コンピュータ間のデータ通信など

デジタルならノイズの影響を完全に受けない、という説明は正しくありません。

電圧や電波は現実の物理信号なので、送信中に弱まったり、周囲の雑音が混ざったりします。

ディジタル伝送では、受信時に正しく0と1を判定出来るかが大切です。

誤りが生じる可能性があるため、誤り検出・訂正や再送などの仕組みも使われます。

また、デジタルデータを送る時に、必ず四角い波を送るとは限りません。

例えば無線通信では、搬送波という電磁波の振幅や位相を変化させて0と1を送る事があります。

見た目はなめらかな波でも、そこに乗せている情報はデジタルデータという場合があるのです。

この違いはモデムの学習にも役立ちます。

デジタルの数字を、通信回線で扱い易いアナログ的な波形へ変える事があるからです。

名称だけで区別するより、「情報は何で表され、実際の回線にはどんな信号が流れるか」を考えると理解が深まります。

ここが重要: データの種類と、実際に伝送する信号の形は分けて考えます。

3. モデム・変調・復調とは?

3-1. モデムの役割と必要な理由

モデム(modem)は、デジタルデータを通信回線に適した信号へ変え、受信側では信号からデータを取り出すための装置です。

名前は「modulator(変調器)」と「demodulator(復調器)」に由来します。

モデムは変調と復調を組み合わせる装置だと覚えると分かり易いでしょう。

例えば、昔のアナログ電話回線でパソコン同士が通信する場面を考えます。

パソコンが扱うデータは0と1ですが、電話回線は人の声に対応する周波数帯の信号を運ぶために作られています。

そのまま0と1に対応する電圧を流すのではなく、回線で送れる音声帯域の信号に置き換える必要がありました。

図4|モデムを使った送受信
送信PC
1010…
→
モデム
変調
→
電話回線
変調された信号
受信PC
1010…
←
モデム
復調
←
電話回線
受信信号
従来のアナログ電話回線を例にした一方向の送信・受信のイメージ。

送信側は0と1に応じて信号の性質を変えます。

これが変調です。

受信側は変化を読み取り、元の0と1を取り出します。

これが復調です。

両方の処理が揃う事で、回線の性質に合った通信が出来ます。

現代でもケーブルモデムなど、通信方式に合わせた装置が使われています。

ただし、電話回線用のモデムと、他の通信方式で使うモデムは信号処理の詳細が異なります。

また、モデムとルーターは同じではありません。

モデムが回線に適した信号の変換を主に担当するのに対し、ルーターは異なるネットワーク間でデータの送り先を判断して転送します。

家庭用機器では両方の機能が一体になっている場合もあります。

「モデム=インターネットの箱」とだけ覚えると、変調・復調との関係が見えません。

モデムは、デジタルデータと通信回線の信号を結びつける橋渡し役であると理解しましょう。

3-2. 変調と復調の仕組みと代表的な変調方式

変調とは、送りたい情報に応じて、搬送波などの信号の性質を変える事です。

復調とは、受信した信号を調べて元の情報を取り出す事をいいます。

搬送波(はんそうは)は、情報を運ぶために利用する波です。

乗り物に荷物を載せるように、搬送波の性質を変えて情報を表すとイメージすると理解し易くなります。

変調の基本には、振幅・周波数・位相という3つの考え方があります。

振幅とは波の大きさ、周波数とは1秒間に波が繰り返される回数、位相とは波の進み具合やタイミングの事です。

図5|AM・FM・PMの違い AM 振幅変調 FM 周波数変調 PM 位相変調
振幅・周波数・位相の違いがわかるように簡略化した模式図です。

AM(振幅変調) では波の大きさを変えて情報を表します。

FM(周波数変調) では波の細かさ、つまり振動の速さを変えて情報を表します。

PM(位相変調) では波のタイミングを変えて情報を表します。

AMラジオやFMラジオの名前にも、こうした方式が使われています。

デジタルデータを搬送波で送るときは、ASK、FSK、PSK、QAMなども重要です。

ASKは振幅を切り替え、FSKは周波数を切り替え、PSKは位相を切り替えて情報を表します。

QAMでは振幅と位相を組み合わせます。

デジタルデータでも、電磁波などの波を使って送れる事が分かります。

名称 変えるもの 初心者向けの覚え方
AM / ASK 振幅 波の大きさ
FM / FSK 周波数 波の細かさ
PM / PSK 位相 波のタイミング
QAM 振幅と位相 2種類の変化を組み合わせる

受信側の復調では、送信側が変化させた部分を読み取ります。

例えば、2つの周波数を0と1に対応させた場合は、届いた波の周波数を調べて判断します。

だから、送信側と受信側は同じ変調のルールを知っている必要があります。

ここが重要: 変調は送信用に波を変える処理、復調は受信した波から情報を取り出す処理です。

4. ベースバンド伝送方式とは?

4-1. ベースバンド伝送の意味と仕組み

ベースバンド伝送方式とは、送りたい情報を表す信号を、搬送波で別の周波数帯に移さずに送る方式です。

初学者向けにいえば、「0と1を表す信号を、伝送路に合った形に整えて直接送る方法」です。

例えば、1を高い電圧、0を低い電圧にしてケーブルへ送るイメージが典型的です。

ここで大切なのは、直接送るといっても何も処理しない訳では無い事です。

実際の通信では、0と1を電圧のパターンにしたり、タイミングを取りやすい信号にしたりするため、伝送路符号化が行われます。

これから学ぶRZ・NRZ・NRZI・バイポーラも、この考え方に関係する方式です。

図6|ベースバンド伝送の流れ
データ
10110100
→
伝送路符号化
電圧のパターン
→
ケーブルなど
信号を直接送信
1 0 1 1 0 1 0 0 +V 0 −V 時間 →
単流NRZによる説明用の模式図です。

ベースバンドとは、元々の情報を表す信号が占める周波数帯という意味もあります。

例えば、搬送波を利用する通信では、搬送波へ乗せる前の情報を表す信号を「ベースバンド信号」と呼ぶ事があります。

このため「ベースバンド」という言葉と「ベースバンド伝送」という言葉は、全く同じ意味ではありません。

身近な通信では、有線LANなどを学ぶ時にベースバンドの考え方が役に立ちます。

ただし、現代のイーサネット規格では、単純に0と1を2段階の電圧で流すだけではなく、複雑な符号化や信号処理を使う物があります。

この記事の波形図は、仕組みを理解するための基本例だと思ってください。

なぜ信号を整えるのでしょうか。

大きな理由は、正しく0と1を読み取り、同時にビットの区切りを見失わないようにするためです。

限られた通信路の性能を上手に使うという目的もあります。

方式によって信号の変わり方や必要な帯域が異なるので、用途に合わせた選択が必要になります。

4-2. ベースバンド伝送と帯域伝送の違い

ベースバンド伝送と対になる考え方が、帯域伝送です。

帯域伝送は、搬送波を使い、送りたい情報に応じてその波を変調して送る方式です。

電波を利用する通信をイメージすると分かり易いでしょう。

デジタルデータをそのまま空中に置くのではなく、使う周波数帯に合わせた電磁波の振幅や位相などを変化させて伝えます。

図7|ベースバンド伝送と帯域伝送の見た目の違い

ベースバンド: 電圧の高低を表す信号(概念図)

1 0 1 0 +V 0 −V 時間 →

帯域伝送: 搬送波の変化で情報を表す(概念図)

信号の大きさ 時間 →
搬送波の利用有無を考えるための模式図です。

例えば、ラジオ放送では放送局ごとに使う周波数が異なります。

特定の周波数を選ぶ事で、聞きたい放送を選局出来ます。

この様に、搬送波を使って情報を特定の周波数帯へ置くと、周波数ごとに通信を分けるなどの工夫が出来ます。

比較 ベースバンド伝送 帯域伝送
基本 情報を表す信号を直接送る 搬送波を変調して送る
搬送波による周波数移動 基本的に行わない 行う
代表的な処理 伝送路符号化 変調・復調
イメージ 電圧のパルスなど 一定の周波数帯に置いた波

「ベースバンドは近距離、帯域伝送は長距離」と説明される事もありますが、それだけで決めつけないでください。

通信距離はケーブルの種類、利用出来る周波数帯、送信する電力、回線設備などに左右されます。

伝送方式が違えば、適切な装置も異なります。

試験対策としては、まず搬送波で別の周波数帯に移して送るかどうか を区別しましょう。

0と1の信号をそのまま伝送するという基本の考え方がベースバンド、搬送波の振幅・周波数・位相などを変えて送る考え方が帯域伝送です。

5. RZ方式とNRZ方式を理解しよう

5-1. RZ方式の仕組み・特徴・波形

RZ方式は「Return to Zero」の略です。

意味は「ゼロに戻る」。

各ビットを送る途中で、信号を基準となる0の電位へ戻す事が特徴です。

例えば単流RZ方式では、0を0V、1を高い電圧で表します。

ただし、1の時に高い電圧を維持するのはビットの一部分だけで、その後は0Vに戻します。

例として「10110100」というデータを送る時の波形を見てみましょう。

図8|RZ方式の波形:10110100 1 0 1 1 0 1 0 0 +V 0 −V 時間 →
1の時高い電圧にして、ビット内で0Vへ戻す単流RZの例。

最初の1では電圧が上がり、途中で0Vへ戻ります。次の0では0Vのままです。

その次の1でも同様に電圧が上がってから戻ります。

1が2回続く部分でも、間に0へ戻る時間があるのが重要です。

実際のパルスの細かい形は方式によって異なりますが、基本的には「戻る」という特徴を読み取りましょう。

RZ方式のメリットは、1を送るときに電圧が変化するため、ビットの区切りを受信側が掴み易い事です。

送信側と受信側のタイミングを合わせる事を同期と呼びますが、RZ方式はNRZ方式より同期を取り易い場合があります。

ただし、0が何個も続いた場合には0Vのままなので、必ずしもすべてのビットで変化が生じる訳ではありません。

また、信号を短い時間で上げ下げするため、高い周波数の成分が増え、比較的広い伝送帯域が必要になる場合があります。

これがRZ方式のデメリットです。

単純に「RZなら速い」「RZなら間違いが起きない」という訳ではありません。

ビットごとに0へ戻る事がどんな利点と負担につながるのかをセットで覚えましょう。

RZ=Return to Zero=ゼロに戻る。

この名前だけでも、問題の波形を見分ける強いヒントになります。

5-2. NRZ方式の仕組み・特徴・波形

NRZ方式は「Non Return to Zero」の略で、「ゼロに戻らない」という意味です。

RZ方式と異なり、ビットごとに必ず0Vへ戻す処理をしません。

単流NRZ方式では、0を0V、1を高い電圧とし、同じ値が続いている間はその電圧を維持します。

例えば「11」を送るとき、RZ方式なら1つ目のビット内でいったん0Vに戻りますが、NRZ方式では高い電圧が続きます。

これが最も分かり易い違いです。

図9|NRZ方式の波形:10110100 1 0 1 1 0 1 0 0 +V 0 −V 時間 →
単流NRZ方式の例。1が連続する部分では高い電圧が続きます。

NRZ方式のメリットは、不要な電圧の切り替えを減らせる事です。

例えば「11111111」のようなデータでは、毎回0Vに戻す必要がありません。

RZ方式より高い周波数成分を抑え、必要な帯域幅を小さく出来る場合があります。

一方で、同じビットが長く続くと信号が変化しなくなります。

送信側は決められたビット時間で情報を送っていますが、受信側が信号の変化だけを手掛かりにしていると、どこで次のビットが始まったか判断しにくくなります。

これが同期の課題です。

さらにNRZ方式にも表し方の違いがあります。

この記事の図は、0Vとプラスの電圧を使う単流NRZの例です。

プラスとマイナスの電圧を使う複流NRZなどもあるため、波形問題では「0と1をどの電圧に対応させるか」を先に確認してください。

同じ「10110100」でも、RZでは1の途中で戻る部分があり、NRZでは高い状態のまま続く部分があります。

覚え方はシンプルで、RZは戻る、NRZは戻らない です。

文章だけで迷ったら、2つの波形を並べて違う場所を探す練習をしましょう。

6. NRZI方式を理解しよう

6-1. NRZI方式の仕組みと電圧が反転するルール

NRZI方式は「Non Return to Zero Inverted」の略です。

名前はNRZに似ていますが、重要なのは電圧が高いか低いかではなく、前の状態から反転したかどうか です。

例えばプラスとマイナスの電圧を使い、0が来たら反転、1ならそのまま、というルールでデータを表せます。

ただしここは注意点です。

NRZIには、1のときに反転する規約もあります。

したがって、「NRZIは絶対に0で反転」と覚えてはいけません。

使用する規格や問題文の条件が優先されます。

この記事の例では、通信機器メーカーLINEEYEの解説に合わせて0で反転、1で維持 とします。

今回のルール 動作 考え方
0 電圧を反転 +Vなら−V、−Vなら+V
1 電圧を維持 直前と同じ電圧

例えば最初が+Vだったとき、0が来れば−Vになります。

続けて1が来たら−Vのままです。

さらに0が来れば今度は+Vに戻ります。

0が2回連続した場合は、0ごとに反転するので「+V → −V → +V」という変化になります。

この方式は、電圧の絶対的なプラス・マイナスだけに頼らず、変化の有無で情報を表せる点が特徴です。

受信側で信号の極性が逆に扱われても、変化したかどうかという関係は保たれます。

ただし、変化しないビットが長く続けば、同期の問題は残ります。

今回の規約では1がずっと続く場合です。

試験対策で一番重要なのは、NRZIという名前よりも「初期電圧」「どちらのビットで反転するか」の2条件を確認する事です。

この2つが決まっていれば、波形は順番に書けます。

6-2. NRZI方式の波形の書き方と注意点

NRZI方式の波形を描く問題では、焦らずに1ビットずつ処理しましょう。

例として「10110010」を使います。

今回は、初期電圧は+V、0で反転、1で維持とします。

  1. 最初の1:初期状態の+Vを維持します。
  2. 次の0:+Vから−Vへ反転します。
  3. 次の1:−Vを維持します。
  4. 次の1:−Vを維持します。
  5. 次の0:−Vから+Vへ反転します。
  6. 次の0:+Vから−Vへ反転します。
  7. 次の1:−Vを維持します。
  8. 最後の0:−Vから+Vへ反転します。
図10|NRZI方式の波形:10110010 1 0 1 1 0 0 1 0 +V 0 −V 時間 →
初期状態+V、0で反転・1で維持。各ビットの電圧は+、−、−、−、+、−、−、+です。
ビット位置 値 判断 電圧
1 1 維持 +
2 0 反転 −
3 1 維持 −
4 1 維持 −
5 0 反転 +
6 0 反転 −
7 1 維持 −
8 0 反転 +

ここでよくある間違いは、「1だから必ず+V」「0だから必ず−V」と考える事です。

それはNRZの単純な電圧割り当てと混同した考え方です。

NRZIでは、前の電圧から変化させるかどうかを決めます。

例えば−Vの次の0は+Vですし、+Vの次の0は−Vになります。

もう一つの注意点は初期状態です。

最初が+Vか−Vかによって、同じデータでも波形の上下が逆になる場合があります。

問題で初期電圧が指定されていればそれに従い、指定が無ければ採用した初期状態を明記すると誤解を防げます。

NRZIはルールさえはっきりさせれば難しくありません。

データの下に反転・維持を書き、その下へ+V・−Vの列を作り、最後に線で結ぶ。

この手順を繰り返すと波形問題への苦手意識が減っていきます。

7. バイポーラ方式を理解しよう

7-1. バイポーラ方式の仕組みとAMI符号

バイポーラ方式は、プラス、マイナス、ゼロの3つの電圧レベルを使う伝送符号方式です。

学習で良く登場する代表例がAMI(Alternate Mark Inversion)符号です。

AMI方式では、0は0V、1は+Vと−Vを交互に使って表します。

例えば「1111」を送る場合、最初の1を+Vと決めたら、次の1は−V、その次は+V、最後は−Vになります。

重要なのは、0が途中に入っても次に現れる1のプラス・マイナスの順番は続く事です。

例えば「10101」なら「+V、0V、−V、0V、+V」です。

図11|バイポーラ(AMI)方式の波形:10110100 1 0 1 1 0 1 0 0 +V 0 −V 時間 →
1だけを数えてプラスとマイナスを交互に割り当てます。0は0Vです。

図を見ると、1が現れる位置だけにプラスとマイナスのパルスがあります。

0の場所は中央の0Vです。

NRZI方式のように「直前の電圧を反転するか維持するか」という考え方ではなく、1が来るたびにその極性を交互にする点が違います。

なぜ交互にするのでしょうか。

もし1をすべてプラスの電圧で表した場合、1の多いデータでは信号がプラス側へ偏ります。

一方、プラスとマイナスを交互に使えば、長い時間で見た電圧の平均が0に近づきます。

このように直流成分を小さく出来る事は、通信回路によって重要な性質です。

AMIという名前の「Alternate」は交互、「Mark」は1に相当するパルス、「Inversion」は極性の反転を意味します。

名前の意味を知ると、波形が思い出しや易くなります。

単にバイポーラとだけ覚えるより、0は0V、1は+Vと−Vを交互、というルールを声に出して確認してみましょう。

ここが重要: バイポーラ(AMI)では、1を送るたびに極性を交互に変え、0は0Vで表します。

7-2. バイポーラ方式のメリット・デメリット

バイポーラ(AMI)方式のメリットは、プラスとマイナスを交互に使う事によって、直流成分を小さくし易い点です。

直流成分とは、信号が平均としてプラス側やマイナス側に偏る事に関係する成分です。

例えば、ずっと+Vのままだと平均もプラスに偏ります。

一方、+Vと−Vがバランス良く現れると、平均を0へ近付けられます。

これは直流を通しにくい伝送回路で役立つ場合があります。

また、AMIには規則違反を手掛かりに異常を検出出来るという特徴もあります。

正常なら1を表すパルスは+、−、+、−と並びます。

もし途中で+、+と同じ極性が続いていたら、信号の誤りが起きた可能性を疑えます。

ただし、あらゆる誤りを検出出来る訳ではありません。

デメリットは、0が長く続いた時です。

AMIでは0を0Vで表すので、「00000000」が送られる間は信号に変化が生じません。

受信側が信号の変化を頼りにビットのタイミングを合わせる場合、同期が難しくなる事があります。

その対策として、AMIをもとに長い0の連続を別のパターンへ置き換える方式があります。

代表的な名前にはB8ZSやHDB3があります。

これらは、同期に役立つ信号の変化を作りながら、受信側で元のデータを復元出来るように工夫した物です。

初学者は、まず「0が続くと変化が無くなるので対策が必要」という理由を理解すれば十分です。

ではバイポーラ方式が、RZやNRZより必ず優秀かというと、そうではありません。

プラス・マイナス・ゼロという複数の電圧状態を区別する必要があり、同期や帯域の要求も考えなければなりません。

通信に合う方式を選ぶ事が大事です。

ここが重要: AMIは直流成分を抑えやすい一方、0が長く続くと同期が難しくなります。

8. 4つの伝送符号方式を比較しよう

8-1. RZ・NRZ・NRZI・バイポーラ方式の比較表

ここまでの4方式を一度に見比べましょう。大切なのは「0と1をどんな信号の変化で表すか」です。

RZはビット内で0へ戻り、NRZは毎回戻る必要がありません。

NRZIは電圧が反転したかどうかを使い、AMIは1をプラスとマイナスの電圧で交互に表します。

方式 0の表し方 1の表し方 キーワード
RZ 0V 高い電圧の後、0Vへ戻る 途中で戻る
NRZ 0V 高い電圧を維持 毎回戻さない
NRZI 反転 維持 変化の有無で判断
バイポーラ(AMI) 0V +Vと−Vを交互 3つの電圧レベル

※この表は単流RZ・単流NRZ、0で反転するNRZI規約、AMI方式を使った例です。別の規約もあります。

図12-1|RZ:同じデータ10110100 1 0 1 1 0 1 0 0 +V 0 −V 時間 →
同じデータでも、方式によって波形が変わります。
図12-2|NRZ:同じデータ10110100 1 0 1 1 0 1 0 0 +V 0 −V 時間 →
同じデータでも、方式によって波形が変わります。
図12-3|NRZI(0で反転):同じデータ10110100 1 0 1 1 0 1 0 0 +V 0 −V 時間 →
同じデータでも、方式によって波形が変わります。
図12-4|バイポーラ(AMI):同じデータ10110100 1 0 1 1 0 1 0 0 +V 0 −V 時間 →
同じデータでも、方式によって波形が変わります。

波形を横に見ていくと、RZでは1を表す線が途中で0へ戻り、NRZでは同じ1が連続した部分で電圧が高いままです。

NRZIでは今回の規約に従って0で反転し、バイポーラでは1のたびに+Vと−Vのパルスが入れ替わります。

なぜ4つも方式があるのでしょうか。

それは、必要な帯域幅、同期のしやすさ、直流成分への対応、使う回線の性質など、重視する条件が違うからです。

どれか一つを「最強の方式」として覚えるのではなく、特徴と弱点をセットで覚えると理解が進みます。

試験問題では、波形から方式名を答える場合もあれば、データ列から波形を描く場合もあります。

基本ルールが分かれば、どちらの方向の問題にも対応出来ます。

RZ・NRZ・NRZI・AMIという略語だけを暗記するより、実際に短いデータを置き換えてみる事が大切です。

8-2. 波形問題の解き方と覚え方

波形問題を解く時は、最初に「どの方式か」、次に「0と1をどう表すか」、最後に「初期状態は何か」を確認します。

特にNRZIでは反転ルールと初期電圧、AMIでは1の極性の始まりが重要です。

  1. データ列を1ビットずつ区切って書きます。
  2. 0と1の電圧割り当て、または反転ルールを確認します。
  3. 左から1ビットずつ電圧を決めます。
  4. ビットの境界に注意しながら横線・縦線をつなぎます。
  5. 最後に、特徴(戻る・維持・反転・交互)が合っているか確認します。

例えば「1100」の場合を考えてみましょう。

RZでは最初の1と次の1で、それぞれ0へ戻るパルスが出来ます。

NRZでは最初の2ビットが高い電圧でつながります。

0で反転するNRZIなら、最初の2つの1で電圧を維持し、その後2つの0でそれぞれ反転します。

AMIなら、最初の2つの1を+V、−Vの順で表し、残りの0は0Vです。

この様に同じ短いデータを4方式で描いてみるだけでも、差が見えてきます。

次に「1010」「1111」「0000」などで試してください。

連続する1や0のとき、波形がどの様になるのかを見るのがお勧めです。

覚え方はRZ=戻る、NRZ=戻らない、NRZI=反転ルール、AMI=交互 です。

ただし、覚え方はあくまで入り口です。実際の問題では規約が異なる可能性があります。

特にNRZIは「0で反転」と「1で反転」のどちらも存在する事を忘れないで下さい。

最後に、自分で描いた波形から逆にデータを読み取る練習もしてみましょう。

例えばAMIの波形で中央の0Vなら0、プラスまたはマイナスのパルスなら1です。

NRZIなら電圧が変わった境界を探して、使用したルールに従って0か1を決めます。

行きと帰りの両方向で解けると、理解がぐっと深まります。

9. 初心者が間違えやすい疑問を解決

9-1. 伝送方式・変調・符号化の違い

「伝送」「変調」「符号化」は似た場面で登場するため、最初は混同しがちです。

伝送は、情報をある場所から別の場所へ送る事を表す広い言葉です。

変調は、送りたい情報に応じて搬送波などの信号の性質を変える事です。

復調は、その信号から元の情報を取り出す事です。

一方、伝送路符号化は、0と1などの記号を、通信路で送れる電圧の変化などに対応させる処理です。

RZ・NRZ・NRZI・AMIは、この伝送路符号化の例です。

例えば「1010」を送りたい時、単流NRZなら「高、低、高、低」の電圧にする、といった決まりを使います。

言葉 意味 例
伝送 情報を相手へ送ること PC間のデータ通信
変調 情報に応じて波を変えること AM、FM、PM、QAM
復調 変調信号から情報を取り出すこと モデムの受信処理
伝送路符号化 データを信号のパターンへ変えること RZ、NRZ、NRZI、AMI

なお、「符号化」という言葉には他の意味もあります。

文字コードへの変換や、データを小さくする圧縮符号化などです。

学習中に符号化という言葉が出てきたら、何を何に変換しているのか確認してください。

また、変調と伝送路符号化は排他的な関係ではありません。

複雑な通信システムでは、ビット列を整える符号化を行った後に、搬送波を使って変調する場合もあります。

つまり「符号化をしたら変調は出来ない」という事ではありません。

処理の目的を分けて理解するのがコツです。

試験で用語の組み合わせが出たら、AM・FM・PM・QAMは搬送波を変える側、RZ・NRZ・NRZI・AMIは伝送路上の信号の表現方法、と整理すると間違いを減らせます。

9-2. よくある質問と資格試験の学習ポイント

通信技術の学習で特に質問が多いポイントを整理します。

ここまで読んで「わかったつもりだけれど少し不安」という部分があれば、下の質問と答えを確認してください。

Q1. アナログ伝送とディジタル伝送は、どちらが優れていますか?

用途や回線条件によります。デジタルにはデータを再判定して再生しやすい利点がありますが、ノイズを完全になくせるわけではありません。アナログ信号の処理も現代の通信で利用されています。

Q2. モデムとルーターの違いは何ですか?

モデムは回線に適した信号の変換や復調を担当し、ルーターはネットワーク間でデータの送信先を判断して転送します。機能が一体となった製品もあります。

Q3. ベースバンド伝送では何も変換しませんか?

いいえ。搬送波による周波数移動は基本的に行いませんが、電圧などの信号に置き換える伝送路符号化は行います。

Q4. RZとNRZはどこを見て区別しますか?

ビットの途中で0の電位へ戻るかどうかを見ます。単流RZは1のパルスが途中で0へ戻り、単流NRZは毎ビットで0へ戻しません。

Q5. NRZIは0と1のどちらで反転しますか?

規約によって異なります。この記事では0で反転する例を採用していますが、1で反転する規約もあります。問題文や規格を確認しましょう。

Q6. バイポーラでは0も反転しますか?

この記事のAMI方式では0は0Vで表します。1が登場するたびにプラスとマイナスを交互に使います。

基本情報技術者試験などの学習では、単語の意味だけでなく「なぜこの方式を使うのか」を自分の言葉で説明出来ると理解が深まります。

例えば、RZ方式ならビットの区切りを判断し易くするため、AMI方式なら直流成分を小さくするため、といった目的をつなげて覚えましょう。

波形問題に慣れるには、まず4ビット程度の短いデータがお勧めです。

「1010」を4つの方式で描き、次に「1111」「0000」を描いてみてください。

繰り返しを含むデータを試すと、それぞれの方式でどこに変化が生まれるのかが良く分かります。

最終的には、波形を見て元データを読める事を目指しましょう。

データから波形を作る練習と、波形からデータを読む練習の両方を行うと、初めて見る問題にも落ち着いて対応出来る様になります。

10. まとめ|通信の仕組みを一度に復習

アナログ伝送は連続的な信号を利用して情報を送り、ディジタル伝送は0と1などの記号として情報を扱います。

デジタルデータも実際には電圧や電波などの物理的な信号で送るため、信号を適切な形に変える工夫が必要です。

モデムは通信回線に適した信号へ変換する装置で、送信側の変調と受信側の復調を担当します。

変調では波の振幅・周波数・位相などを変えて情報を表します。

ベースバンド伝送は搬送波で別の周波数帯へ移さずに信号を直接送る考え方で、データを電圧などの信号へ置き換える伝送路符号化が重要になります。

RZ方式は「0へ戻る」、NRZ方式は「毎回戻らない」、NRZI方式は「反転の有無」、バイポーラ(AMI)方式は「1をプラスとマイナスで交互にする」という特徴があります。

NRZIでは0で反転するか1で反転するかを問題の条件で確認してください。

最初は複雑に感じても、信号の形を一つずつ描けば違いは見えてきます。

この記事の図と比較表を見直しながら、短いデータ列を使って波形を描く練習をしてみましょう。

最重要ポイント: 用語だけを暗記せず、「なぜその信号の形にするのか」を考えると通信全体の仕組みが理解しやすくなります。
注:波形図は仕組みを学ぶためのオリジナル模式図です。規格の実際の電気特性やパルス波形をそのまま示すものではありません。

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